担当:大島
うつくしきけものは眠る娼館の跡にふるびぬものを率いて

解説:
この写真は、私が今月中旬に海外へ旅行した際に撮ったものです。
行き先はギリシャでしたが、ここに映っているのは途中で寄港した先のトルコの遺跡です。
当時は、官僚社会。
市民からの信頼も厚くなければならない彼らに醜聞が立つのを防ぐために、
庁舎から娼館への秘密の地下通路があったとか。
地中海地域特有の、皮膚を刺すような過酷な日光の下で遺跡を見学していると、
いたるところで猫を見かけました。
私が猫好きなのもあいまって、眺めているうちに、こんな考えが。
「この娼館が栄えていた頃も、日射しは今と同じようにきつく、
建物がすっかり衰えた今は、美しい女の代わりに猫が身体を休めている。
官僚が夢中になった花園はないが、観光客が歴史の遺産に夢中になっている…」
果てしないほどの昔に想いを馳せるなかで、
猫や娼婦や太陽や大理石がゆっくりとまざっていくような、不思議な感覚。
白昼夢のような時間。
私にとって、こういう妄想は歴史ある場所を訪ねたときの楽しみの一つです。